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テクノルネサンスジャパン

2011年07月12日

『第4回テクノルネサンス・ジャパン』(主催:日本経済新聞社,後援:文部科学省他)のオリエンテーションが,本学において7月6日(水)4時限に開催された。

テクノルネサンス・ジャパンは,学生が企業に研究開発して欲しい未来の夢を企業に提案するアイデア・コンテストである。会場になった東5号館241号教室には50名以上の学生が参加(写真)。学生は当企画の説明や研究開発型企業5 社の担当者のプレゼンテーションに耳を傾けた後,会場の後方に設けられた企業ブースを訪れ一歩踏み込んだ情報交換を行った。

<オリエンテーション当日>

オリエンテーションの冒頭は,本学の福田喬理事(教育戦略担当)の挨拶から始まった。福田理事は、今回のテクノルネッサンス・ジャパンの機会を学生の創造性発揮の場として欲しいと述べ学生に応援メッセージを送った
次に本企画立案者の横田浩一氏(横田アソシエイツ代表)が演題に立ち,テクノルネサンス・ジャパンの目的と背景を説明した。目的は科学技術立国日本の復活である。
この目的を設定した背景として,次の3つの点を挙げた。第1は科学技術の全体像を見渡す俯瞰的な発想や構想を持てる理工系学生を全国的に増やす必要があること。第2は理工系学生に企業における「ものづくり」の魅力をもっと伝え る必要があること。第3は,学生と企業が具体的なテーマを通じて直接接触する機会を増やし,学生がものづくりに対して認識を高める必要があること,である。
 以上の概要説明が終わったあと,企業から学生に提案して欲しい分野についてのプレゼンテーションが行われた。

<企業プレゼンテーション>

(1)スリーボンド: 
シール剤・接着剤のメーカー。担当者は携帯電話の防水シールやクルマ用のワックス等,我われが日常生活で使用している多くのモノの中に当社の製品が使われている,とアピール。募集課題は「持続可能な社会を形成するための接 着剤とは〜環境に優しいシール剤・接着剤の提案」である。

(2)大日本印刷: 
もともと情報伝達を目的に設立された企業。印刷技術を基盤に,多様な分野に応用発展させ,現在は半導体の製造プロセスでも重要な役割を果たしている。募集課題は「創発型社会における,新しい本のあり方とは〜今の学生が社会 の第一線で活躍する20年後,本はどんな姿をとっているか」である。

(3)東レ: 
繊維に関する総合メーカー。当社が開発した炭素繊維を航空機に応用した結果,機体が軽量化され年間2万トンのCO2の削減が実現した。また炭素繊維は金属と違って湿度で錆びることがないため,機内の湿度をそれまでのドライから 乗客に快適なレベルに保つことが可能になったと説明。当社の先端技術が地球環境や人の快適性の向上に役立っている実例を挙げた。
募集課題は「科学の力を使ってグリーン・イノベーションを起こす〜地球環境問題を解決する提案を期待」である。

(4)村田製作所: 
センシング技術に焦点を当てて企業活動が紹介された。人の存在を認識して電源を管理する当社製の人感センサーが,テレビ,エアコン,室内照明などに組み込まれ,世界市場に出ていると説明。募集課題は「センシング技術を使っ た新しい事業〜こんなセンサーがあったら良い+動作原理の解説」である。

(5)住友化学: 
「信用を重んじ確実を旨とす」という経営理念の説明に続き,当社製品の事例として「オリセットネット」が紹介された。これは今の日本ではほとんど使われなくなった「蚊帳(かや)」である。蚊が伝染病の媒体となっている途上 国の人々の健康を守る目的で開発された。蚊は自分が通り抜けられるスペースの前では,必ず一度その場に止まる。その性質を応用し,薬剤効果が永続する繊維を開発
し,蚊が止まりたくなる網目の大きさに織り上げ,蚊が通 過する時に確実に付着するよう工夫されたもの。日本では廃れた蚊帳が新しい技術で生まれ変わった例である。
途上国の人々の健康を守るという点でWHOからも評価されているという。募集課題は「創造的なハイブリット(組み合わせ)・ケミストリーの提案」である。

以上,5社のプレゼンテーション終了後,参加企業別質問会(写真)が行われた。

<参加した学生の感想>

大学院生・Aさん
「プレゼンが簡潔でしかも実物や模型などを使いながらの説明は非常に分かりやすかった。全体を通して企業のテーマは環境問題や人の役に立つことが前提で,提案型の商品を考えていると強く感じた」

大学院生・Bさん
「参加者が思ったより多く来ていて驚いた。企業がどういう理念で製品を生み出しているのかが分かった。既に第4回目ということで今まで知らなかったことを後悔した」

学部生・Cさん
「就職活動の一環として参加。経営成績の良い企業の目指す方針が分かったので,具体化し得る人材になれるようこれからの大学生活を送ろうと思う」

学部生・Dさん
「今回プレゼンした企業はほとんど知らない企業ばかりだったが、自分の興味ある分野の企業もあり、就活に向けてもっと多くの企業を調べてみようと思った。」

学部生・Eさん
「他分野とのコラボレーションがお互いになかった発想をもたらし化学変化を起こす,という話が興味深かった」

<これまでの電通大の受賞歴>

・2008年度(第1回)
 【村田製作所賞】 優秀賞 ロボメカ工房:量子・物質工学専攻の平井雅尊さん。
「生分解性高分子による電子材料インクの開発と3Dプリント基板」

  【村田製作所賞】 優良賞 チーム・メカエレ連合:電子工学工房電子工学専攻・古平晃洋さん,ロボメカ工房知能機械工学専攻・長谷川信さん。
「江戸っ子PCB〜バッテリーが消える日〜」

 【住友化学賞】 優良賞 チーム・メカエレ連合:ロボメカ工房知能機械工学専攻・長谷川信さん,電子工学工房電子工学専攻・古平晃洋さん。
「無電源で触覚を提示するタッチパネル」

・2009年度(第2回)
 【旭化成賞優秀賞】 電気通信学研究科電子工学専攻中野研究室・中田宗文さん。
「電子半透明ミラーを用いた農作物の効率的な促成栽培方法」。417件という大変厳しい競争の中での受賞。

・2010年度(第3回) 説明会に54名が参加,応募は8件。受賞者なし。

<今年度応募について>

応募形態は,個人単独・グループのどちらでも可能。また複数の企業を組み合わせたコラボ提案も歓迎。学生は上記企業のプレゼンをもとに「企業に研究開発して欲しい未来の夢」のアイディアを所定の応募用紙で企業に提出する。

締め切りは8月末。

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