第104回研究開発セミナー「小型化・無線化によるストレスのない生体情報の検出 −感性研究,リハビリ,睡眠分野への応用と評価−」開催報告
2016/10/17
第104回研究開発セミナー『小型化・無線化によるストレスのない生体情報の検出−感性研究、リハビリ、睡眠分野への応用と評価−』を以下のとおり開催しました。
日時:平成28年4月15日(金)13:00〜17:30
場所:電気通信大学産学官連携センター(7号館415会議室)
企画:司会:産学官連携センター客員教授 坂本 和義
(URL):http://www.crc.uec.ac.jp/pickup/seminar/104.html
日本の65歳以上の高齢者人口は近年増加の一途を辿り、2007(平成19)年には全人口の21%を超過し、日本は“超高齢社会”に突入しました。今後も高齢者の人口増加は予想され、特に75歳以上の後期高齢者人口の急峻な増加が予想されています。
超高齢社会において高齢者の心身状態を的確に把握することは社会の要請するところです。本セミナーでは、最近の生体情報技術や、生体情報技術を駆使した高齢者の健康度評価について解説し、センサー技術の進歩により小型化・無線化されたデバイスを実際に多数の生体情報の取得に活用し事業化させた例をいくつか紹介しました。
当日は、総数55名(事前申込者45名、当日参加者10名)の参加で、会場が満席となり大変盛況でした。また、長時間の講演にもかかわらず、質疑応答では活発な議論が交わされるなど、一般においてもこの分野の興味の高さを改めて感じることとなり、有意義なセミナーとなりました。
発表テーマ7題の発表内容のまとめを以下に記載します。
- 「小型化・無線化技術の生体計測分野への適用の意義と実用性」
セミナーの全内容の概略を説明しました。“脳波・脈波”と“筋電図・筋音図”の同時計測と“無拘束センサーによる睡眠評価”の3課題について、小型化・無線化技術を適用したことを紹介し、この新技術による評価方法によって得られた結果の特徴と評価の有用性を解説しました。 - 「健康度を計測するための小型化・無線化生体情報測定機器」
開発した小型化・無線化技術について解説しました。この技術を組み込んだ機器を用いて生体機能を評価し、健康度の評価方法を提案しました。 - 「脳波・脈波同時測定による飲料の香り効果の評価」
市販の飲料(コーヒ、紅茶、緑茶、対象飲料(純水))の香り評価において、脳波と脈波の同時計測を行いました。得られた結果のひとつの例として、リラックス効果の最も高い飲料は紅茶であることを示しました。 - 「筋電図・筋音図同時測定によるリハビリ効果の評価」
筋収縮時において発生する生体情報として、筋電図、筋音図、筋発揮力が得られます。大腿筋の表層筋の3筋に筋電図・筋音図同時計測センサーを3個貼付して同時計測を行い、3筋の機能を評価しました。3筋の働きに性差が見られました。また、体力を評価する評価量(体重支持指数,WBI)について説明し、WBI値の性差について解説しました。 - 「睡眠の評価法:睡眠のメカニズムと良い睡眠技術の取得法」
睡眠研究の歴史と睡眠科学の基礎知見を解説しました。特に、睡眠リズム(日周リズム)、短時間睡眠と長時間睡眠の寿命への影響、年齢による適性睡眠時間を解説しました。 - 「睡眠における寝具の役割;快適な寝具とは?」
寝具の機能と役割について解説しました。評価量は、温熱環境(寝床内温度)による生理学的評価(皮膚温)が行われました。その他に、温水マットや新素材マットを紹介しました。 - 「小型・無拘束センサーを用いた睡眠評価システム」
睡眠時の無拘束計測システムを提案しました。従来睡眠状態は脳波、眼球運動、筋電図を計測していましたが、睡眠中の体動計測することにより、脈波を検出して睡眠段階を評価する方法です。介護施設の高齢者を無拘束で睡眠段階を評価した事例を紹介しました。
(担当:産学官連携センター客員教授 坂本 和義)
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