第105回研究開発セミナー「言語の学びと自動化への取り組み−母国語を人が学ぶしくみ、機械に学ばせるしくみ、多言語翻訳技術の現状と応用−」開催報告
2016/10/31
第105回研究開発セミナー『言語の学びと自動化への取り組み−母国語を人が学ぶしくみ、機械に学ばせるしくみ、多言語翻訳技術の現状と応用−』を以下のとおり開催しました。
日時:平成28年9月1日(木)13:00〜15:20
場所:電気通信大学東7号館415研修室
企画:司会:産学官連携センター客員教授 菅谷 史昭
開催案内:http://www.uec.ac.jp/news/event/2016/20160803-1.html
初めて獲得した時の苦労は忘れても、次に獲得する時は苦労を味わう言語が今回のテーマです。まず、母語の獲得の秘密の一端に触れました。また二度目の苦労は機械が手助けしてくれるかもしれないという期待とどの程度手助けになるのだろうかという疑問を解決するために、機械による手助けのしくみを探り、体験できるように企画いたしました。
講演会は四部構成です。最初は、電気通信大学の南先生にお話しいただき、乳幼児の膨大な実データに基づいた、語彙の獲得の最新研究を紹介いただきました。語彙爆発という言葉がありますが、現実は、夢のように一日にたくさんの語彙を増やしているわけではないというお話しなど常識が変わりつつあるようです。
二番目は、統計数理研究所の松井先生にお話しいただきました。計算機が学ぶ仕組みを、機械学習や人工知能の勘所を押さえて説明いただきました。非線形で高次元なモデルのパラメータをうまく見付ける深層学習が従来技術を超える性能を出し始めている現状もお話しいただきました。
三番目は、情報通信研究機構(NICT)研究所の隅田先生に、機械翻訳についてお話しいただきました。現在の機械翻訳は、対訳コーパスとよばれる、翻訳をしたい2つの言語のペアを大量に収集利用して、ペアの中の対応関係を計算機が自動的に発見して利用しています。日本語から英語に計算機が翻訳するにも、人間が翻訳ルールを考えるわけではなく、データと計算により自動的に翻訳システムが出来上がるなど、例を示しながら説明いただきました。このような手間いらずの方法なので、多言語に展開することが可能となってきたそうです。
最後に、KDDI研究所の菅谷により、総務省受託の多言語プロジェクトの取り組みと、現在進められている実証実験の模様や、そこで利用されているアプリケーションの体験を行いました。教室は、ほぼ満員で、会場からは多くの質問が寄せられました。参加者、関係者、そして講師の皆様、大変ありがとうございました。
(担当:産学官連携センター客員教授 菅谷 史昭)
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