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イベント開催報告 2011年度

発刊日 2011年12月19日(月)
【10/21(金)】ギガビット研究会 第1回設計ガイドラインセミナー開催報告

日時:平成23年10月21日(金曜日) 10:00-17:30
題目:「ギガビット伝送を高周波的に見ると」
講師:ギガビット研究会代表
    電気通信大学名誉教授 上芳夫
場所:電気通信大学 東7号館
   (産学官連携センター棟) 4F 415(研修室)

 ギガビット研究会では、去る平成23年10月21日に、第1回設計ガイドラインセミナー「ギガビット伝送を高周波的に見ると」を開催いたしました。

概略

 セミナー冒頭では、デジタル回路の配線設計をする場合の基本的なステップが示され、本セミナーで取り上げる範囲が以下の通り確認された:
一般にデジタル回路の配線設計をするとき、配線に関しては、次のような基本的なステップを辿る。
ステップ1 繰り返し周波数または繰り返し周期を仮定する
ステップ2 高次高調波はどこまで考慮しなければならないか? 考慮すべきか?を検討する
ステップ3 考慮すべき周波数帯まで確実に動作する素子を選択する
ステップ4 どのような種類の配線、配線長を採用するかを検討する
ステップ5 そのとき波形は閾値を越えるか、どの程度歪むかを予測し、能動素子の選択基準にする
この第1回セミナーでは、上記のステップのステップ3までに関する事項を取り上げる。ステップ4以降は伝送線路理論の詳細を含むことから第2回以降のセミナーで詳細に取り扱うことにしている。

 次に、本セミナーの基本的な考え方について、下記の点が強調された:
高速デジタル回路における信号波形は高周波成分の固まりである。従って、電気回路における回路素子が高周波でどのように振る舞うかを理解するためには、電磁気学の知識が不可欠である。電気回路で用いる基本回路素子(抵抗、インダクタ、キャパシタ)が常に理想的な働きをする訳ではない。電気回路における電圧と電流や回路素子は、電磁気学ではどのように定義されているのか。定義で示される理想的な素子と現実の素子にはどのような違いがあるのかを認識する必要がある。その結果、素子の働きがどうなっているかが見えてくる。
 このような観点から以下の項目に関して、特に電気回路学と電磁気学の相違(対応関係)に注意しながら、理論的なバックグラウンドから説明が行われ、回路素子に関連するガイドラインが明示された。
1. クロック波形はどんな周波数成分で構成されているのか?
2. 直流と高周波回路とでは、何が違う?
3. 実配線の回路は集中定数だけで表現出来ない!
4. リード線の働きは?
5. 表皮効果ではどんな効果があるのか?
6. 不連続容量、浮遊容量とは?

 各項目の解説の後、周波数成分や包絡線を描画するためのプログラムや散乱行列から回路素子を抽出するためのプログラムが紹介された。なお、テキストには基本事項の理解の助けとして役立つよう、附録として重要な技術用語の意味の分かりやすい解説が添付されている。

アンケート結果及び編集後記

(1)参加された多くの方々からアンケートとして非常にポジティブで有意義なご意見・ご要望をいただきました。順序不同ですが参考までに代表的なものを掲載します。
・f_r≈0.35⁄τ_r などノウハウとして知っていた内容に対して、理論的な裏付けが得られ、非常に役に立ちました。
・現在ノイズ対策に苦しんでいます。EMC対策セミナーもお願いしたい。
上先生の講義はわかりやすい。説明が丁寧で良い。最後の付録の説明はわかりやすかった。電気・電磁気学の基礎の講義も聞きたい。
・インダクタンスの厳密な定義の説明が大変わかりやすく参考になった。
パーシャルインダクタンスとして求めた独立導体の自己インダクタンスが、回路内で集中定数素子として扱うことができるかというところをもっと知りたい。
集中定数と分布定数の違いも大変わかりやすく参考になった。 プログラムも大変参考になった。
不連続容量の伝送波形に対する影響をもっと知りたい。
・回路理論と電磁気学をつなぐところについて非常に分かりやすい講義で、自分でモヤモヤしていたところを理解することができた。
とっても有意義な資料であるので、部門内で共有しようと思う。
・基本的な事柄を復習することができ、とても勉強になった。
今後、実践的な話に入っていくと思いますので、機会があったらまた是非参加したいと思う。
・非常に勉強になった。結論 → 詳細という流れはとても分かり易かったと思う。
・シミュレータを用いたEMCノイズの理論的なモデリング手法や、そのノイズモデリングが他の回路やアンテナに対し結合するメカニズムをシミュレーションで定量的かつ精度良く求める手法の確立を求めている。そのような手法の最新動向があったら、今後のセミナー等で御紹介いただければ幸いです。
・本セミナーの内容は業務で扱っている電磁現象の数学的解釈の説明であったために非常に有意義な講義だった。日常では数学からのアプローチで電磁現象を捉えていないため、今後、EMI対策手法の開発に深みを持たすために、上記アプローチを取り入れて行きます。

(2)第2回設計ガイドラインセミナーは、2011年12月2日(金曜日)に「デジタル回路をアナログ高周波回路として取り扱うために」と題して開催される予定です。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

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